理系に強く&賢く育てるための読み聞かせ方法『発展編』です!
前回の入門編では絵本の読み聞かせで伸ばすことが出来る理系の能力や、そのために重要となってくる対話型読み聞かせの具体的なやり方を紹介しました。
今回はさらに理系の力やSTEAM/STEM教育(理科、技術、工学、数学教育)に特化した対話型読み聞かせ方法、その発展編を紹介していきます。
- 理系に特化した対話型読み聞かせで伸ばす能力
- 【簡単】エンジニアリング目線の対話型読み聞かせ
- 【ちょい難】自然科学に注目した対話型読み聞かせ
- 【要チェック】読み聞かせで伸ばしにくい理系の力
『入門編』の「対話型読み聞かせ」や「絵本で伸ばす理系の能力」についてはこちらの記事を参照してください
入門編でも紹介した対話型の読み聞かせ、特に予想と問題解決方法を話し合いながらの読み聞かせも、論理的思考力や問題解決力といった理系的能力を育むのにとても有効です。
そのうえでさらに工学や科学といった視点からの力を伸ばすための方法を紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
目次
理系特化|幼児向け対話型の絵本読み聞かせ
普通に出来る対話型の読み聞かせと比較して、今回紹介するものはさらにSTEM教育要素を伸ばす読み聞かせ方法になります。
- エンジニアリング目線の読み聞かせ
⇒工学的に対話しながら読み聞かせをする - 物語を科学とつなげる読み聞かせ
⇒自然や現象について対話しながら読み聞かせる
通常の対話型読み聞かせでもOKですので、難しければただ心に留めておいて、出来る範囲、気付く範囲で行えばいいと思います。
ですが、本当に発展編となりますので
- 普段の読み聞かせの中で入門編の対話を意識
⇒そういえばこんなこんな見方もあったな~
くらいの感覚を持っているだけで充分だと思います。
理系特化の対話型読み聞かせで育む幼児の能力
前回の入門編では論理的思考力や問題解決力、好奇心を伸ばすというお話でしたが、今回のは理系特化。
さらに理系的な能力を伸ばすのに役立ちます。
- 日常の物事への理解力・洞察力
- エンジニアリング的思考力と好奇心
- 科学的かつ理系への知的好奇心
私も塾経営でたくさんの生徒達を見てきましたが、上で挙げたような能力を持つ生徒はいずれも成績最上位。
特にこれらの能力を持っている子供は普段から周りの物事に対して思考を巡らせる習慣がつくため、ただ生活しているだけでもどんどん知識を獲得し賢く育ってくれます。
なにも勉強しなくても賢い子がいると思いますが、普段から興味を持っていろいろな視点、考え方から物事を見ているので、机に向かっている時間以外も勉強になってるんですね。
今回紹介する読み聞かせは、そんな能力を育てるような手法の一つですので是非実践してみてください。
やり方|幼児期限定&理系特化の対話型絵本の読み聞かせ
では実際の方法を紹介していきます。
理系エンジニアの目線で絵本の読み聞かせ対話を入れる
タイトルは難しそうですが、結構簡単に出来るエンジニア目線の対話型読み聞かせです。
エンジニア=工学ということで、物語に出てくる人工物全てに対して出来る対話ですので、見つけるのも簡単ですし、幼児向けの絵本であれば出てくる人工物自体が分かりやすいものが多く、すぐに出来ます!
やり方としては
- 人工物の動き・目的・作り方を話題にする
これだけです。
車や料理道具、家、机や黒板なんかもすべて人工物ですので見つけるのが簡単ですよ。
例|理系エンジニア目線の絵本読み聞かせ
では実際の対話例を紹介していきますね。
◆例①車や働く車に対して
- 「この車速く走るかな?」
- 「どこが動くと思う?なんで?」
- 「ショベルカーって土を掘って何するんだろう?」
- 「何で出来てるんだろうね?鉄かな?」
◆例②料理道具に対して
- 「お鍋ってどうやってこんな形にするんだろう?」
- 「包丁の作り方って知ってる?」
- 「まな板って木だよね。うちのはプラスチックかな」
◆③三匹の子豚の家で例
- 「何で藁の家は飛ばされるんだろう」
- 「レンガって石で重いから頑丈だね」
- 「○○ちゃんは何でお家を作りたい?」
- 「うちの家はコンクリートだね」
とまあ、基本的に「どうやったら作れるか」「何故作るのか」を考えるのが基本となります。
人工物ですので、全てにおいてその「前段階がある」こと、夢物語ではなく「実際に作成可能である」こと、「目的があって作る」というを意識してもらうための対話ですね。
また、前段階はエンジニアリング目線だけでなく科学の知識にも繋がり、好奇心も育つ素敵な問いかけです。
うちの子(4歳)は先日、刀鍛冶の動画を食い入るように見てました
人工物自体が、「人類が快適に生きるための道具」ですので、その使い方を考えることは問題解決力の向上にもそのまま繋がります!
物語を科学的な目線で対話を入れる
タイトルでも分かりやすいかもしれませんが、通常の絵本に出てくる物事に対して科学的な目線に基づいて対話を入れていきます。
とはいえ、相手は小さい子供ですので、本格的な科学の話をする必要はありません。実際に話すこととしては
- 自然現象に対して疑問を投げかける
これに尽きます。
自然現象自体は、別に科学的な内容を扱ったものでなくても殆どの絵本で出てくる描写ですので、意識にとどめておいて気が付いたら話題に出してみてください。
ただ、見つけにくい。当たり前の描写なので意識しないと本当に見つけにくいです。
例|理系特化の科学目線で絵本読み聞かせ
正直なところ見つけるのは難しいので、次のような例を挙げておきますので参考にしてみてください。
◆動き:落ちる、転がる、川が流れる、山登りが大変
- 「何で落ちるか知ってる?」
- 「地球に引っ張られたんだね」
- 「これだけ落ちるとすごいスピードになるね」
◆家庭:料理、火、電気
- 「温めると水がお湯になるね」
- 「カレー粉混ぜたら溶けちゃうの?」
- 「電気ってどこからやってくるんだろ?」
◆天気:雲、雨、雷、風
- 「雲って何で出来てるんだろう?」
- 「何で風が吹くんだろうね?」
- 「雷が落ちたらどうなると思う?」
◆宇宙:空、地面、星、光や影
- 「空(や地面)の向こうには何があるんだろ?」
- 「お日様って何で明るいのかな」
- 「影ってどうしてできるの?」
◆SF:空を飛ぶ、魔法、ロボット等
- 「どうやったら飛べるんだろう」
- 「この魔法どうすれば使えるかな?」
- 「魔法は使えないけど飛行機だと飛べるね!」
この例のように、当たり前のことばかりなのでとても見つけにくいのが科学的要素です。でも逆に言えばその当たり前のことを追求するのが科学なので、気が付いた時くらいのタイミングで読み聞かせに入れてみてください。
ただ、この対話型読み聞かせによって
当たり前のことに疑問を持つ=科学への知的好奇心というとても素晴らしい能力を育てることが出来ますので、ぜひ参考にしてみてください。
不足要素|理系特化した絵本の読み聞かせでも足りない数学
今回紹介したエンジニア目線や科学目線での対話型読み聞かせは、幼児の理系やSTEM教育の能力を育てるのに非常に有効です。
しかし、STEM教育のM、理系の要である
数学の要素は全然足りません。
数学的要素を取り入れようと思ったら、出てくる物を数えたり、似ている形を見つけたりといった対話型読み聞かせ方法があるにはあるのですが、これをすると正直絵本がお子さんにとって面白くなくなります。
ですので、幼児期しか出来ず理系脳、STEM教育にとても効果的な対話型の読み聞かせですが
数学は別で補うように割り切りましょう。
せっかく効果的な読み聞かせ方法なのに、絵本自体が面白くなくなり嫌いになってしまっては元も子もありませんので。
数学が気になるなら専用の絵本やオモチャで!
あくまでどの絵本でも理系の能力を伸ばせるのが対話型読み聞かせですので、数学が気になるならそれを意識した絵本を取り入れましょう。
ちなみに我が家では「はじめてであうすうがくの絵本1~3」や100玉そろばん、図形要素ではマグネットブロックを使用していますよ。
まとめ|絵本も理系目線で読めばさらに知育効果UP
今回紹介した内容は、将来的にお子さんが
- 工学的思考を習慣付かせる
- 科学的好奇心を伸ばす
- メディア中の出来事を現実的に考察する
という3つのことが出来るようになることを狙っての読み聞かせ手法です。
つまりは最初に挙げた、成績最上位の生徒が持つ普段から周りの物事に対して思考を巡らせる習慣を育てる手法となりますので、ぜひ参考にしてみてください。
- 絵本中の人工物について対話をする
- 自然現象を見つけて対話をする
- 数学的能力は別の方法で伸ばす
そして重ねて書きますが、対話型の読み聞かせができるのは幼児期のみ、だからこそ読み聞かせ自体が嫌いになってしまっては意味がありません。
ですので、何よりも絵本を楽しめることを一番に楽しく読んであげてください!