塾で1000人の生徒を指導してきた私が、教育学や心理学の観点からこどもちゃれんじの弊害と弱点を紹介していきます。
こどもちゃれんじは知育おもちゃや人気キャラクターで大好評の幼児教材です。
しかし特に年少以上のこどもちゃれんじ『単体』の教育効果を考えると
- 自分から勉強しなくなる
- 理科の好奇心が育ちにくい
という、教育現場で理系科目を指導してきた私としては本当に勘弁してほしい可能性を抱えています。
- 年少以上のこどもちゃれんじの弊害と弱点
- 成績優秀者に見るこどもちゃれんじ
- 無駄な点と上手な使い方・進め方と使い時
今回はそのこどもちゃれんじの弊害や弱点と、その補い方、さらには幼児教育に対する本音も踏まえて解説していきたいと思います。
目次
こどもちゃれんじの特徴と弊害
大人気の教材こどもちゃれんじ。
実際私の家も上の子が受講しており、子供も喜んで学習しています。
ですが、あくまでサブ教材として利用しています。
こどもちゃれんじ自体は
- 人気キャラクターと一緒に学べる
- 知育おもちゃ・絵本が沢山で楽しく学べる
- 先取り学習で小学校入学もスムーズに
- 内容も楽しく子供受けが抜群
と、ここだけ見るといいとこ尽くしの教材です。
出典:こどもちゃれんじHP
特に3歳未満のお子さんに対してだと、まだ語彙が少なく知育おもちゃに悩む時期。毎月知育おもちゃや新しい知識に触れる機会を提供してくれるという意味で本当にいい教材だと思います。
『こどもちゃれんじぷち』とか本当に助かります。
ですが、言葉も増えてひらがなの読み書きもでき始める年少からは話は別。
上で挙げた人気キャラやオモチャ・子供が喜ぶ内容がそのままこどもちゃれんじの弱点となってしまいます。
こどもちゃれんじの弊害:自分から勉強しなくなる
これが第一の弊害です。
こどもちゃれんじだけで幼児の勉強を進めていくと、下手をすれば将来的に自分から勉強しなくなります。
確かにこどもちゃれんじは子供が自分から机に向かう工夫が盛りだくさんです。
人気のキャラクター、仕掛けいっぱいの教材、楽しく学べる知育おもちゃと、我が家も届いたらすぐに子供に奪われます。
でもそこがまさに危険なポイント!
こどもちゃれんじは勉強の動機が『勉強内容の外に集中』している教材となってるわけです。
こどもちゃれんじが子供受け抜群であるポイント
- キャラクターが好きだから勉強する!
- 勉強になるおもちゃが楽しい!
- 仕掛けが楽しいから勉強しちゃう!
という状況は、つまりはご褒美や遊びにつられて勉強しているだけになっているわけです。
ですので裏を返せば将来的に
- 好きなキャラがいないと勉強しない
- おもちゃがなければ勉強しない
- 面白くない教材じゃ勉強しない
に繋がります。
というか勉強しなくなります。
「好きな先生だから英語は頑張る」
「次回80点越えたらスマホ買ってもらえるから勉強する」
と言いながら勉強を頑張っている子をたくさん見てきました。
そしてその全てが長続きしませんでした。
進学・進級とともに先生が変わって急に成績が落ちたり、ご褒美が無くなると殆ど勉強しなかったりと浮き沈みが激しく、そのモチベーションももって半年でした。
それもそのはず。
心理学の研究で『ご褒美や罰による動機付けは短期的』と結論が出ているんです。
じゃあ賢い子、成績上位の子はどんなモチベーションで勉強しているかというと、勉強内容そのものに興味を持って勉強しています。
キャラやご褒美といった外付けされた動機ではなく、知りたいから勉強する、理解したいから勉強するというのが成績上位。つまりは好奇心そのものが賢い子のモチベーションな訳ですね。
こどもちゃれんじ『だけ』でキャラやオモチャをモチベーションにしてしまうと、実際の勉強内容に好奇心が向き難くなります。
ですので、こどもちゃれんじを利用する場合はその点に注意してください。
勉強は習慣づけが重要『ではない』
よくわかる話です。
- キャラやオモチャで興味を引いて勉強習慣を付けよう
- 徐々にキャラやオモチャを無くして勉強習慣を残そう
全くもってよくわかる話です。
ですがよく勘違いされている点として、成績と勉強習慣は必ずしも関係しません。
むしろ賢い子は勉強習慣が無いことがザラです。
じゃあ賢い子はどんな習慣を持っているかというと
勉強時間や勉強することにこだわらず、理解しようとする習慣を持っています。
賢い子は理解するために新しいことを学んだ時に自分の中で色々な角度からアプローチをかけるので呑み込みがとっても早いんです。
理解しようと試行錯誤するから理解が早い、理解が早いから毎日決まった勉強はしていないというもの。
ちなみに『色々な角度からのアプローチ』とは
- 勉強内容を言い換えや例え話に変える
- 現実世界の具体例と結びつける
- 学んだことを細かく段階分けする
みたいな形ですね。
話が逸れましたが、つまり勉強習慣はそこまで重要ではないということです。
賢い子は新しい内容を聞いたその瞬間から
こういう事かな?
あ、ほんとにこうだった!
じゃあアレと繋がるんだ!
と質問でも頭の中でもいろいろと考え試行錯誤し、その場で理解まで落とし込みます。
じゃあ何故そんなことが出来るのかというと、これはもうキャラやオモチャではなく知的好奇心の一言に尽きるわけですね。
勉強内容が面白いから理解・納得したいんです。
こどもちゃれんじの弊害:理科に弱くなる
第二の弊害。
幼児のお勉強をこどもちゃれんじだけに頼ると将来的に理科に弱くなります。
実際、こどもちゃれんじの生き物観察キットとかはもう凄いです。
上手くオモチャや教材、絵本や動画・アプリなどとも連動していて、すごく楽しく学べます。
でも理科の内容が生き物に偏りすぎています。
そして本当に苦手な子が多くなる物理や化学の内容がとても少ないんです。
では実際、どれくらい物理や化学などが少ないかというと
- 年少|こどもちゃれんじほっぷ
⇒年間理科7テーマ/内訳【生物5:物理1:化学1】 - 年中|こどもちゃれんじすてっぷ
⇒年間理科10テーマ/内訳【生物10】 - 年長|こどもちゃれんじじゃんぷ
⇒年間理科9テーマ/内訳【生物7:地学2】
となっており、年少~年長の3年間で26テーマ中22テーマが生物単元に偏っています。
残念なことにアメリカの研究で中学理科の学力は幼児期の能力と関係していることが判明しています。
つまり幼児期に生き物に興味を持たせる活動ばかりしていると、将来理科の中でも物理や化学単元が苦手になってしまうわけです。
- 生物単元:一番身近で興味を持ちやすい、暗記で点を取りやすい
- 物理化学:身近じゃないため興味が持ちにい、暗記で点が取れない
という教科の特徴から幼児期に力を入れたいのは物理化学!でもこどもちゃれんじには無い!
というのがこどもちゃれんじだけでは理科に弱くなる理由です。
オプションで理科は補える
じゃあこどもちゃれんじの理科は全然ダメかというとそうではありません。
年中から別料金でつけることが出来るオプション『サイエンスプラス』は、上で挙げたような理科の弱点をしっかりカバーしてくれています。
出典:こどもちゃれんじプラス
このこどもちゃれんじプラスは年中・年長向けで2カ月に一度のペースで定期的にキットが届き
- こどもちゃれんじサイエンスプラス年中
⇒年間理科6テーマ/内訳【化学1:物理5】 - こどもちゃれんじサイエンスプラス年長
⇒年間理科6テーマ/内訳【生物1:化学2:物理3】
と、通常のこどもちゃれんじの理科不足が狙っているかのように、ピンポイントで不足単元を補うように出来ています。
理科実験のサブスク型教材が殆ど無いところもこのサイエンスプラスが嬉しい点ですね。
こどもちゃれんじの弊害はこうして無駄なく解決!
今やってる教材は無駄になるかな?
ここまでこどもちゃれんじを受講することの弊害や弱点について紹介してきました。
正直なところ、教育現場の人間、特に理系の重大さを感じてきた私としてはこどもちゃれんじをおすすめしません。
ですがあくまでそれはこどもちゃれんじを『メインの学習』教材として据えた場合です。
例えば次のような使い方なら全然OKです
自然体験・探求遊びの補助としてこどもちゃれんじ
そもそも幼児期のお勉強、大切なのは机に向かう事ではなく色々な経験を積み将来の勉強に繋がる体験を増やすことです。
だからこそ幼児期は勉強に繋がる実体験こそがお子さんのお勉強と思って取り組むようにしましょう。
お勉強の形にこだわらないようにしてください。
例えば
- 数学:数遊び・トランプ・パズル
- 化学:簡単な料理・塩や砂糖を溶かしたり
- 物理:ボール転がし・ブロック遊び・磁石遊び
- その他自然現象を観察してみる等
といった、教材ではなく実際の遊びを一番の勉強と捉えることです。
こういった勉強に繋がる実体験こそが知的好奇心に繋がっていきます。
そしてその補助として読み書きをこどもちゃれんじに任せるという形ですね。
色々な物事への関心や好奇心を養うことをメインとして、好奇心がほぼ不要な読み書きにしまじろうの力を借りるわけです。
また、上の例はあくまでこどもちゃれんじの弊害に合わせたお勉強ですので、追加で絵本の読み聞かせや普段の生活態度ももちろんお勉強の範疇に入れてください。
こどもちゃれんじに限った話ではありませんが、幼児教材は教育の中の補助として位置付けるべきです。
別教材と併用する
こどもちゃれんじに不足している部分はざっくりと
- 勉強内容自体への好奇心育成
- 物理・化学の要素
です。
ではこの部分を補ってくれる教材を併用しよう!という作戦です。
そしてそこを補うのにぴったりな教材
ズバリZ会幼児コース一択です。
Z会幼児コースの教材は理科に繋がる実体験を豊富に取り入れていて、そもそもこどもちゃれんじに不足している物理化学が多く、さらに実体験と勉強とのつながりに重きを置いているので知的好奇心の育成もばっちりです。
Z会の体験型教材『ぺあぜっと』が、こどもちゃれんじに不足している点を驚くほど埋めてくれています。
私の家ではZ会幼児コースをメインに使っており、早々と終わらしてしまいやる事が無くなってこどもちゃれんじ、という流れになっています。
毎週末にZ会の体験型学習が入るので、遊びのネタとしても重宝しています。
こどもちゃれんじの無駄な所と使うタイミング
私は数多くの子供たちに勉強を教えてきて、そのうえ我が子への教育として幼児教育・教育心理学といった論文の勉強、それら研究結果からみる幼児教材の分析を行っています。
そんな中でこどもちゃれんじに対する正直な本音として
と考えています。
そもそも小学校低学年までの子供って、それだけで好奇心旺盛ですもの。
その好奇心や探求心を伸ばしてあげることが大切であって、好奇心旺盛なところにキャラクターやオモチャを挟む必要は無いと思っています。
上の弊害で書いているようにキャラクターやオモチャが動機の全てになってしまってはたまりません。
実際、こどもちゃれんじが子供受けが良く勉強したくなるような作りであることは間違いありません。
であれば、そこを使うのはいろいろな体験に子供の好奇心が向かない時だと考えています。
お子さんが勉強とは繋がらないテレビやオモチャ、Youtube等から離れなくなってしまった時こそがこどもちゃれんじの使い時です。
しまじろうのアニメを見せて釘付けにし、そこからこどもちゃれんじへ。
しまじろうの知育オモチャで遊び、しまじろうの絵本を読み、いよいよしまじろうのワークですね。
そうなっていない時、つまりはまだまだメディア以外に好奇心が旺盛なときは、それこそZ会幼児コースや小中学校の受験に強いモコモコゼミといった、より学習内容に重きを置いた幼児教材をお勧めします。