年中までのやさしい下積みから年長で高難度に続く教材でした!
今回は超難関中学受験の名門塾SAPIXとも提携している、幼児通信教材のモコモコゼミについて紹介していきます。
私の塾経営者としての経験から高校受験・大学受験を見据えた視点からの評価、また幼児期の能力が成長後と強く関わる理系、STEM教育(理科、技術、工学、数学教育)の観点からの教育効果や、いつ始めると効果的かを紹介していきます。
- モコモコゼミの概要
- 何歳から始めるべきかを難易度と合わせて
- 学習内容の分析と教材の特徴
簡単に結論から書いておくと
- 年中・出来れば年少までに始めるべき
- 国語や数学の分野はとても良い
- 理科分野は足りない
- 親として教育の勉強になる
という内容です。
お子さんを賢く育てるために何か役立つ情報があればと思いますので、ぜひ見ていってください。
目次
モコモコゼミってどんな教材?
まずは簡単にモコモコゼミの全体的な使用感を紹介。
- 小学校受験の名門『こぐま会』の教材
- 難関中学受験の名門塾『SAPIX』と提携
- 1歳から始められる
- 年長から難易度が高くなる
という、小中とお受験に強い教材というのが基本です。
良く口コミでは『難しい』といったものも見受けられますが、それはあくまで年長からですね。
プレ~年中までは勉強嫌いになることを避けるためにもやや難易度・量ともに低めとなっています。
ちなみに教材の特徴ですが、簡単に紹介すると
- かわいいキャラクターだらけ
- 繰り返して取り組みやすい作り
- 中学受験も見越した作りこまれた内容
- こちらが本番ともいえる『がくしゅうのてびき』
といった作りになっています。
そして本番と書いた『がくしゅうのてびき』冊子。
出典:モコモコゼミHP
もともと、こぐま会の代表である久野泰可先生は『幼児にとって紙を使った勉強は最後の手段』とおっしゃっており、その前段階である手や体を使った「事物教育」を大切にされていることから、教材内容と「事物教育」とのつながりをこの冊子の内容で作ろうとしています。
この記事の後半でも記述していますが
この『がくしゅうのてびき』の使い方がモコモコゼミの効果を左右する
といっても過言ではありません。
届く教材|モコモコゼミの中身
実際に届く教材はこんな感じ!
写真は年中の9月号ですが
教材としては
- メイン教材(20問)
- がくしゅうのてびき(パパママ向け手引書)
- 塗り絵
- 付録教材
という内容です。
メイン教材のワーク自体は20問とやや他社の教材と比べて少な目ですが、先ほども書いた通り紙のワークではなく『がくしゅうのてびき』を見ながら教材以外の面での学習が重要となってきます!
モコモコゼミはいつから始めると良い?難易度は?
難しいって口コミも見るけど途中からでも大丈夫?
他の教材からの乗り換えであれば年中からでもおすすめ。
結論から言えばこうなります。
モコモコゼミは年長から高くなる難易度に向けて年中までの基礎を積み重ねるという教材です。
年少・年中までに始めるのが◎|モコモコゼミ
モコモコゼミは1歳から始められる教材で、どの月からでも始められます。
が、上にも書いた通り
- 年長から難易度が高くなる
- 年中までは年長に向けた基礎固め
という教材ですので、年長から始めるのはおススメしません。
また、それまで知育をしてこなかったご家庭にとっては年中からも難しく感じるかもしれません。
よって初めて教材等を利用する家庭であれば
プレコース(2~3歳)や年少コース(3~4歳)までに始めるのをお勧めします。
年長からのモコモコゼミは難しい
難易度についても教材に明確に記載されていますが
- 受験を前にした年長から難しくなる
- 基礎を学ぶ&勉強嫌いにならないよう年中までは量・難易度共に低め
となっています。
というわけで難しいという評価は年長においてで、年中までの内容は意外と取り組みやすくなっています。
ですが年間カリキュラムの中でも難易度は変わってきますので、年度の後半に近づくほど当然難易度は上がっていきます。
年長で内容がどれくらい変わるか、参考が付いてきますので紹介しておきますね。
年長のモコモコゼミ
うちは年中から始めましたが、「年長でこのレベルに取り組みますよ~」という参考例が付いてきました。それがこちら。
※即子供に襲われて資料にしわが付きましたがご勘弁ください
中学受験を見据えた飛び石の問題
この内容が年長で解けるようになる教材なんです。
凄いですよね。算数の飛び石問題についてはこの内容だけで掛け算、公倍数、速さなど、重要な素養がてんこ盛りの内容です。
またこの長さの文章を読める&理解できるようになるというのも本当にすごい!
このレベルに達するための下積みが年中までの内容に含まれているわけですね。
年長から始める場合のメリット
年中までと比べて難易度が一気に上がりますが、次のような場合は年長から始めても全然問題ないと思います。
- 体験してみて本人がストレスなく取り組める
⇒一番重要。解けなくて勉強嫌いになることが最もNG - 教材が解けなくても受験の参考にしたい
⇒お受験の子がどれくらいのレベルかの目安に使う
特にストレスなく取り組めるかどうかが本当に大事。
確かにこの難易度を解けるようになることは素晴らしいですが
解けない
⇓
楽しくない
⇓
でも頑張る
⇓
勉強が遊びではなく義務になる
⇓
幼児期は良くても将来学力が伸びない
という悪い方向へと進んでしまいます。
義務として頑張る理数系は本当に伸びません。
そもそも難しいとされる教材ですので、年長から始める場合は『出来なくてもいいや』とか『これが出来るようにするために別の教材をやろう』といった心構えがあったほうが良いと思います。
学習内容の特徴|モコモコゼミの教材
では他の教材と比べて学習内容がどう違うかも紹介していきますね。
基本的には小学校受験だけでなく中学受験で出てくる内容も見据えた教材になっていますが、出てくる問題にも具体的に次のような特徴がみられます。
- 文章読解や作成能力を鍛える問題が多い
⇒物語になっている問いや物語の作成など - 身の回りや(大人にとっては)一般常識的な問いが多い
⇒季節の果物や野菜など - 数学は数えるよりも数遊びが豊富
⇒計算は別オプションでしっかりしたものがあります - 図形や空間把握の問題も多い
- 自然科学の分量は少なめ
- 『がくしゅうのてびき』がとっても優
自然科学が少ない点はちょっと寂しいですね。
国語分野は読みや文章作成が豊富
学習内容にペンを持つ練習はあっても、他の教材でよくみられるひらがなやカタカナの書取りはありません。
ですがその分、問題の文章を自力で読んだり、絵を見て物語を考えたり、説明したりといったオープンクエスチョン形式の問題が多く見られます。
お話の内容理解や絵からの文章作成に何度も取り組むので、文章理解力がとっても鍛えられる内容になっています。
とくに昨今は共通テスト(旧センター試験)の仕様変更に伴い、小学校~高校まで文理問わず読解力、理解力を必要とする問題が増えています。そいうった点を見据えても幼少期からこういった文章『作成』に取り組む内容はとっても有用です。
数字は無くとも数遊びが豊富
数字の書取りといった鉛筆で書くような数字のお勉強はありませんが、付録を使っての数の学習、数の等分(ケーキを同じ数で分ける)といった、数『遊び』の問題が豊富にあります。
また↑のような付録の数カードで、ただ数字を覚えるのではなく、
遊びながら数字の変化に親しむといった方向性の学習になっています。
数学が得意な生徒の必須条件とも言える
『数学=遊び』にするにはとっても優秀な教材!
しかもワークは国語分野と合わせて文章の読解も混ざってきますので、周りと差が付く内容を見据えてしっかりと押さえてくれています。
『がくしゅうのてびき』に事ある毎に書かれていますが、ワークの中だけではなく、おはじきなどの実物をつかって数を考えるところも他の教材とは違うところですね。
自然科学(理科)や実体験は親次第
理科・自然科学の分野は正直少ないです。
季節的な物事、野菜や果物の育ち方といった常識的・知識的な問題がメインですので、将来、特に物理・化学といった分野を楽しく学べるかどうかは、正直このモコモコゼミだけでは怪しいと思います。
物理化学分野に興味を持てる子供は比較的少ないので、ご家庭でフォローしてあげて欲しいと思います。
この辺りは次で解説している「がくしゅうのてびき」の使い方によってもその是非が関わってきます
『がくしゅうのてびき』が本番ともいえる秀逸さ
出典:モコモコゼミHP
知識だけではなく学習内容を実際に体験することが勉強が得意になる条件の一つです。
そこについては、モコモコゼミでは別冊の『がくしゅうのてびき』のなかで、教え方と合わせて体験の仕方を丁寧に記載してくれています。
この『がくしゅうのてびき』を読んでパパママが実践するかどうかもモコモコゼミを効果的に使えるかどうかの大きな分かれ道です。
- 「数」はワークではなく、おはじきなど実物を使ってください
- 「形の学習」は折り紙で実際に作ってみましょう
- 「虫 採った」ではなく「虫を採った」と言えるよう教えてください
ここでは端的な書き方をしていますが、実際は上の画像のようにもっと丁寧です。
具体的に「○○をしましょう」「□□が大事です」「△△ができるようになります」といったことがワークの問題一つ一つにしっかりと書いてあり、ワークの問題を解くための手引きというよりも
親子の関わり方全体を通じた教育の手引きとなっています。
この辺り、教育熱心なご家庭であれば、ワークの内容よりもこの『がくしゅうのてびき』こそが教材の中で一番価値のある冊子になると思います。
つまりは親が大変なところがデメリット?
よく幼児向け通信教材についてネットで調べていると『親が大変かどうか』というのが教材選びのファクターになっていることが見受けられます。
この『がくしゅうのてびき』を読み込んで親が先生の代わりとして教えるモコモコゼミはどちらかと言えば親が大変な教材となるでしょう。
ですが、塾で1,000人以上を見てきた私の意見としては
勉強が苦手に育った『中学生』のほうが親は数倍大変になります。
塾でもそうなんだから家ではもっと大変でしょう。
少し促せば遊びとして勉強してくれる幼児って全然楽ですよ。
こう言うのもなんですが、教育に力を入れてこなかったパパママも、受験が近づくと労力を使って子供に「勉強しなさい!」と怒りを向けます。
ですが
他の塾も行ってるんで毎月3万円かかってるし…
先生からももっと勉強するように言ってやってください!
というのが本音です。
特に「勉強が楽しい」の感覚は後付けで成長後に身に着けることがとっても難しい。ですので、親が大変かどうかは教材選びのポイントからは外すことをおすすめします。
気付きにくいメリット|繰り返しやすい冊子の作り
色々な幼児教材を研究してきた私が強く思う点。特に数を身に着けるには、多くの幼児向け教材で練習量が足りないという問題。
モコモコゼミはこれをバッチリ解決してくれています。
簡単に言えば何度も周回しやすい教材。
- 冊子が製本されていないためコピー機にかけやすい
- 何回も周回して解くよう、解いた回数のチェックシート付
- そもそも冊子に書き込まなくても出来る問題が多い
となっているのが本当に嬉しい。間違えた問題を理解するまで練習することが簡単に出来ます。
毎回理解度含めた周回用のチェックシートが付いてます。
終わったかどうかよりも理解しているかどうかが大切ですので。。。
まとめ
今回は小学校受験から中学校受験までも見据えたこぐま会の教材『モコモコゼミ』について紹介してきました
- モコモコゼミは小中学受験を見越した教材
- 難易度は年中までが低め・年長が高め
- 始めるなら年中までがおススメ
- 国語と算数の教育が素晴らしい
- 理科や実体験は少ない
特に算数についての進め方がとっても気に入りました。
年長から始めるにはやや難がありますが、年中までに開始して『がくしゅうのてびき』と合わせた教育効果はとっても素晴らしいものがあります。
ただ、本当に届く教材だけでは理科や実体験の要素が不足していますので、その辺りのフォローも含めて活用してもらいたいと思います。